あの数字の並び、キリが悪くありません?
シャッタースピードは1、1/2、1/4、1/8……
F値は1.4、2、2.8、4……
ISO感度は100、200、400、800……
カメラの設定画面を見ながら、なんとなくキリの悪さを感じたことはありませんか?
整数でスパッと割り切れそうなのに、微妙にズレている。
私はこの違和感、けっこう長いこと放置していました。
でも理由が分かると、この数字の並びがちゃんと意味を持って見えてきます。
今日はそのあたりを、写真と一緒にゆっくりお話ししていこうと思います。

そもそも「段」ってなに?
写真の世界には「段(ステップ)」という共通の物差しがあります。
これは、光の量が2倍になるか、半分になるかを表す単位です。
- 1段明るくする → 光の量が2倍になる
- 1段暗くする → 光の量が半分になる
シャッタースピード・F値・ISOは、光の量を変える手段がそれぞれ違うだけで、「1段」が意味するところは同じなんです。
- シャッタースピードを1段遅くする(1/60→1/30)→ 光を取り込む時間が2倍に
- F値を1段開ける(F4→F2.8)→ レンズの穴の面積が2倍に
- ISOを1段上げる(400→800)→ センサーの感度が2倍に
手段は違っても、「写真に写る光の量が2倍になる」という結果は同じ。
これって、けっこう面白い共通点だと思いませんか?
なぜ1/3段刻みなの?
ここまでで「段」の意味は分かりました。
では、なぜカメラの設定は1段刻みじゃなく、1/3段刻みになっているのでしょう。
理由はシンプルで、1段刻みだと変化が大きすぎるからです。
1段動くと光の量が2倍・半分と大きく変わってしまうので、微調整には向いていません。
そこで1段を3つに均等分割した「1/3段」が、標準的な刻みとして採用されました。
3回動かすとちょうど1段分になるよう、数学的に均等に割られています。
ISOが100、125、160、200……とキリ悪く見えるのは、100と200の間を均等に3分割しているからなんですね。
こう考えると、あの半端な数字にもちゃんと理由があったんだな、という気がしてきませんか?
シャッタースピードの段を見てみる
シャッタースピードの1段刻みは、こんな並びになります。
1秒 → 1/2 → 1/4 → 1/8 → 1/15 → 1/30 → 1/60 → 1/125 → 1/250……
隣り合う数字は、だいたい2倍・半分の関係になっています。
1/3段刻みで表示されるカメラだと、この間に1/50や1/100といった数値が挟まってくるので、見慣れないと戸惑うかもしれません。






F値の段を見てみる
F値の1段刻みは、こんな並びです。
F1.8 → F2.5 → F2.8 → F3.5 → F5 → F7.1 → F10 ……
シャッタースピードと違って、数字の増え方が一定に見えないのが特徴です。
これは、F値がレンズの「穴の面積」に関わる数値で、面積は直径の2乗に比例するから。
1段ごとに面積が2倍になるよう計算されているので、数字自体は√2倍ずつ増えていく形になっています。






ISO感度の段を見てみる
ISO感度の1段刻みは、こんな並びです。
ISO64 → 125 → 250 → 500 → 1000 ……
これは3つの中で一番分かりやすいかもしれません。
単純に倍々になっているだけなので。
1/3段刻みだと、100の次に125、160ときて200に到達する、という並びになります。





3つを動かすとどうなるか(実践例)
ここまでバラバラに見てきたSS・F値・ISOですが、実際の撮影では3つを組み合わせて使います。
たとえば、こんな場面を考えてみます。
- 手持ちで撮っていて、シャッタースピードが遅くてブレそうな時
- でも今の設定から明るさは変えたくない
このとき、シャッタースピードを1段速くする(光が半分になる)代わりに、ISOを1段上げる(光が2倍になる)と、全体の明るさは変わらないままブレを防げます。
同じように、F値を1段絞って被写界深度を深くしたいとき、シャッタースピードを1段遅くすれば明るさは保てます。
こうやって「1段動かしたら、どこかで1段分を補う」という感覚が身につくと、露出で迷う場面がぐっと減っていく気がするんです。
F値固定









ISO感度固定






「段」で考えると、設定に迷わなくなる
シャッタースピード・F値・ISOは、別々の設定に見えて、実は「段」という同じ言語で話しているんですよね。
数字のキリが悪いのも、1段を均等に3分割しているだけと分かれば、もう迷子にならずに済みそうな気がしませんか?
次にカメラを構えるとき、この「段」の感覚を少し意識してみると、設定を変えるときの手が止まらなくなるかもしれません。
