第4回:最高の表情は「微笑み」じゃないかもしれない ― 感情のムダを減らす

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「とりあえず笑えばいい」という空気

ポートレートを撮っていると、
「やっぱり笑ったほうがいいですよね?」
と思っていることが多いのではないでしょうか?。

たしかに、世間的には
「笑顔=いちばん良い表情」
というイメージがありますよね。

でも、撮る側として見ていると、
必ずしもそうとは限らないな、と感じる場面が多いです。

むしろ、笑いすぎてしまうことで、
その人が本来持っている雰囲気や美しさが、
ちょっと隠れてしまうこともあるように思います。

笑いすぎると、情報が多くなりすぎる

満面の笑顔がなぜ気になるのか。
考えてみると、理由はいくつかあります。

大きく笑うと、顔の筋肉が一気に動きます。
輪郭が変わり、目尻にシワが寄り、鼻の形も変わる。
それ自体は自然なことですが、
写真として見ると、情報が一気に増えてしまうんですね。

結果として、
「この人、どんな人なんだろう?」
という部分が、少し見えにくくなる気がします。

それに、笑いすぎる表情って、
「私は今、楽しいです」
というメッセージを、かなり分かりやすく出しています。

分かりやすいのは悪いことではありませんが、
全部を見せてしまうと、
見る側が想像する余地がなくなってしまうこともあります。

惹かれるのは、全部見えない表情

私が撮影の中で
「これはきれいだな」と感じる表情は、
感情が少しだけ抑えられている顔だったりします。

無表情、というわけではありません。
むしろその逆で、
内側にはちゃんとエネルギーがある。
ただ、それを外に出しすぎていない、という感じです。

・きゅっと結ばれた口元
・何かを考えていそうな目

そういう表情には、
「余白」が残っているように思います。

見る人が、
「この人、今なに考えてるんだろう?」
と想像できる隙がある。

その想像の余地こそが、
写真を強くしている気がしています。

感情を抑えるのも、ひとつの美しさ

感情をそのまま表に出すのは、実は簡単です。
嬉しければ笑うし、楽しければ顔に出る。

でも、それを少しだけ抑えて、
内側にとどめておくには、
意識やコントロールが必要になります。

第1回で触れた
「内側のエネルギー」というのは、
こうした抑制の中にあるものなのかもしれません。

ムダな愛想や、必要以上の表情の動きを減らしたとき、
その人が積み重ねてきた時間や考え方が、
静かに表に出てくる。

レンズ越しに、
その余白がふっと見えた瞬間。
「あ、今のは撮れたな」
そう思えることが、私はいちばん多いです。

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