今回は少し難しいかもしれませんが、サスペンションについてのお話です。
「なんだか乗り心地が悪いな」とか、「せっかく調整できるのに、どうやったらいいの?」と悩んだことはありませんか?
適切に調整されたサスペンションは、快適な乗り心地を提供するだけでなく、
バイクの安全性も向上させます。
今回は、我流ではありますが、
「ショックアブソーバ」の減衰力についてお話したいと思います。
誰も教えてくれなかったサスペンションセッティング
サスペンションのセッティングって、教えてもらったことありますか?
私は、一度もありません。
学生の頃、NC30に乗っていましたが、バイク屋さんに聞いてみても、
「わかりません!」と言われてしまいました(笑)。
当時はまだネットも普及しておらず、バイクに詳しい先輩や後輩もいませんでした。
そのため、私を含め仲間たちもみんな、
購入したままの状態で、調整もせずに乗っていました。
そもそも、サスペンションは奥が深すぎて、
今でも完璧に理解している人は、少ないのではないでしょうか?
そんな中でも、自分なりに調べて得た知識が、
案外間違ってなかったんじゃないかな?
なんて、最近思っています。
「減衰力」「プリロード」「サグ出し」
うわぁ、難しそう…、街乗りにはあまり関係ないんじゃ?
と思う方も多いかもしれません。
でも、そんなことはありません!
タイトルに「”ショックアブソーバ”の減衰力は最弱でOK!」と書きましたが、
減衰調整機能があるバイクに乗っている方で、
街乗り中心なら、特に悩むことなく、
前後とも圧縮側・伸び側を最弱にして乗り始めるのをおすすめします。
それで、問題を感じなければ、調整終了!
なんてね。
私の考え方ですが、
そもそもバイクに限らず、調整機能があるものなら、
その調整範囲内は、作ったメーカーがきちんと想定しているはずです。
「下限だから危ない!」とか「上限だからダメ!」ということは、本来あってはならないものだと思います。
あくまで一つの考え方として、参考にしていただければ幸いです。
サスペンションの役割
サスペンションの役割と重要性
そもそも「サスペンション」は、
地面の凸凹を和らげるための装置として始まりました。
その構成は、バイクの重さを支えて衝撃を吸収する「スプリング」と、
そのスプリングの揺れすぎを抑えるブレーキの役割を持つ
「ショックアブソーバ(ダンパー)」で成り立っています。
サスペンションがない「自転車」を想像してみてください。
下り坂などで速度が上がると、
小さな凹凸でもタイヤが跳ねる経験をしたことはありませんか?
さらに速度を上げ続けると、転倒した経験がある方もいるかもしれません。
その原因は、タイヤが路面から離れてしまい、
コントロールを失って転倒してしまうためです。
サスペンションの効果と考え方
ここでバイクの話に戻りましょう。
“サスペンション”は地面の凸凹を和らげることで乗り心地を良くするだけでなく、
タイヤが路面に押さえつけられ、離れにくくなる効果もあります。
もっとわかりやすく言えば、
サスペンションはタイヤと路面の接地状態をコントロールする装置なのです。
つまり、
「サスペンションの役割は、タイヤを常に路面に押さえつけるための装置である」
と言えるわけです。
タイヤと路面が離れると、転倒につながるリスクが高まります。
そのため、サスペンションは非常に重要な部品なのです。
私は特に、硬く動きにくいサスペンションは転倒しやすいと考えています。
サスペンションがしっかりと動くことで、
タイヤと路面の接地を維持でき、バイクの安全性が向上すると考えるからです。
「必要な範囲でサスペンションを最大限に動かすことが、安全なバイクにつながる」
これが私の基本的な考え方です。
私は4輪車でダート走行をしていた経験があるため、
他の人よりも路面からできるだけ離れたくないという気持ちが強いのかもしれません。
”ショックアブソーバ”のお仕事
繰り返しになりますが、
路面の凸凹を吸収し、タイヤが路面に沿うために、”スプリング”があります。
ただし、”スプリング”だけで凸凹を通過すると、
いつまでも揺れが続いてしまい、運転しづらいだけでなく非常に危険です。
その繰り返す揺れを抑えるのが”ショックアブソーバ”の役目で、
”ショックアブソーバ”の効き具合は
「強い・弱い」、「硬い・柔らかい」と表現されることがあります。
この表現が、ダンパーのお仕事を分かりにくくしていると私は考えています。
”ショックアブソーバ”の仕組みは、
シリンダーの中に閉じ込めたオイルを小さな隙間を通すことで、
抵抗を作り出しています。
このオイルの通る道を狭くすると、「強い」減衰力が発生します。
「強い」減衰力=サスペンションの伸縮が遅くなる
逆に、オイルの通る道を広くすると、減衰力が「弱く」なります。
「弱い」減衰力=サスペンションの伸縮が速くなる
ということになります。
減衰力”の調整は、サスペンションの伸縮スピードを調整している。
タイヤが路面の凹凸を通過するときのタイヤの動きをイメージしてください。
ゆっくり通過すれば、凹凸に沿ってサスペンションは縮み、そして伸びます。
同じ凹凸を高速で通過した場合、サスペンションは素早く伸びて対応します。
このとき、減衰力が高くサスペンションの伸びがゆっくりだと、
凹凸に沿えず、タイヤが路面から離れてしまいます。
コーナーリング中であれば、転倒する可能性があります。転倒しなくても、冷や汗をかくことになるでしょう。
次に、コーナーリング中に小砂利や雨でタイヤが滑るシーンについてです。
コーナーリング中はバイクが傾いています。
このとき、タイヤが滑ると、
摩擦抵抗を失ったサスペンションは路面を捉え続けようと伸びます。
減衰力が弱ければ、
サスペンションは素早く伸びて路面を捉え続けますが、
減衰力が強すぎるとサスペンションは伸びず、タイヤが路面から離れてしまいます。
離れなくても、路面を押さえる力が減少します。
路面を押さえることでタイヤのグリップ力が発生しているため、
グリップ力が低下するということです。
そのため、伸び側を強くするのは個人的には非常に怖いと感じています。
少し難しかったかもしれませんが、
要は「タイヤと路面が離れるような強い減衰力は危険だ」ということです。
「じゃ、具体的にどうすればいいの?」ということですよね。
まずは、減衰力最弱で乗ってください。
サスペンションの調整の基本
最弱にしても、ポヨンポヨンの足になるわけではありません。
必要な減衰力は必ず存在します。
まずは、せっかく装備されているサスペンションを十分に動かすことで、
安全を確保することから始めることをお勧めします。
あとは、走行シチュエーションに応じて調整していくと良いでしょう。
高速道路走行が多い方は、
若干硬めでしっかりとしたサスペンションが適しているかもしれません。
また、動き過ぎると感じた場合も、減衰力を強化するのではなく、
前後のブレーキや体の使い方でサスペンションの動きを抑える方法も試してみてください。
軽量なライダー(特に小柄な女性)は、
減衰力調整と共にサグ出し(プリロード調整)を行い、
伸び側のストロークを確保することをお勧めします。
素早く伸びるサスペンションでも、伸び代がなければそれ以上伸びません。
以下のように小見出しをつけて2分割しました:
私のMONSTERと調整の実際
私のMONSTERは、現在も減衰力最弱にしています。
減衰力を最弱に設定していましたが、
圧側は最弱のままで、伸び側の減衰力を標準位置まで戻しました。
一般的に、
ライダーの体重が70~80kgを想定したサスペンション設定が
メーカー出荷状態と言われています。
しかし、私の体重は64kgなので、出荷状態では硬すぎるのです。
下の動画は、バネのプリロード調整を行ったときのものです。
このとき、減衰力は前後とも伸びも縮みも最弱に設定しました。
ちなみに、プリロード調整を行った結果、またがった状態で約2cm下がりました。
足つき性が良くなったとは感じませんが…。
今回買った工具
キタコ(KITACO)ピンスパナ(180mm)を二個買いました。