― FJクルーザーで実際に計算してみて分かったこと ―
「純正が220kPaだから、LTタイヤなら何kPaにすればいい?」
タイヤをLT(Light Truck)に交換すると、必ず出てくる疑問です。
しかし調べてみると、
乗用車タイヤ → LTタイヤの単純な換算表は存在しません。
それは不親切だからではなく、
物理的に単純換算できないからです。
なぜ換算表が存在しないのか
理由は主に4つあります。
① ロードインデックスは途中の耐荷重を示していない
ロードインデックス(LI)は、
「最大空気圧での最大耐荷重」を示す数値です。
しかし私たちが知りたいのは、
ある空気圧で、何kg支えられるのか
という情報。
LIの最大値だけでは、途中の空気圧での負荷能力は分かりません。
② 荷重と空気圧は比例しない
「最大荷重が大きいなら、低圧でも余裕があるのでは?」
実際はそう単純ではありません。
タイヤは
- 空気圧
- ケーシング剛性
- プライ構造
によって荷重を支えています。
特にLTタイヤは高圧前提設計のため、
低圧域では意外と負荷能力が伸びません。
つまり、
最大荷重が大きい = 低圧で余裕
ではないのです。
③ 規格が統一されていない
タイヤ規格は国ごとに異なります。
- JATMA(日本)
- TRA(アメリカ)
- ETRTO(欧州)
同じサイズ表記でも、計算の前提が違う場合があります。
これも換算表が作れない理由の一つです。
LTタイヤ(メトリック規格)空気圧別負荷能力表
(単位:空気圧 kPa / 負荷能力 kg / タイヤ1本あたり)
| LI | 250 | 300 | 350 | 400 | 450 | 500 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 105 | 570 | 655 | 740 | 815 | 895 | 965 |
| 110 | 650 | 740 | 835 | 920 | 1,000 | 1,080 |
| 115 | 730 | 830 | 935 | 1,035 | 1,125 | 1,215 |
| 118 | 780 | 890 | 1,000 | 1,105 | 1,200 | 1,300 |
| 121 | 825 | 945 | 1,065 | 1,170 | 1,275 | 1,375 |
※代表的な参考値
この表を見ると分かる通り、
LI 115(FJクルーザー相当)の場合
- 250kPa → 730kg
- 350kPa → 1,035kg
- 500kPa → 1,215kg
最大値だけ見ても意味がないことが分かります。
2つの考え方で計算してみた
① 純正タイヤの指定空気圧を基準にする方法
純正タイヤの「指定空気圧時の負荷能力」を調べ、
それと同じ荷重を支える圧をLT側で探す。
JATMA「乗用車用タイヤ空気圧~負荷能力対応表」】
(単位:空気圧 kPa / 負荷能力 kg / タイヤ1本あたり)
| LI | 180 | 190 | 200 | 210 | 220 | 230 | 240 | 250 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 107 | 790 | 815 | 845 | 870 | 895 | 925 | 950 | 975 |
| 115 | 980 | 1,015 | 1,050 | 1,085 | 1,120 | 1,150 | 1,180 | 1,215 |
FJクルーザの標準空気圧は220kPa。
この表から計算すると、
おおよそ 350kPa前後 になりました。
純正タイヤには安全マージンが含まれているため、
かなり高めに出ます。
② 車両の実荷重から求める方法
車両重量から1輪あたりの実荷重を算出し、
表から逆引きする方法。
| 前軸実荷重 | 約1,139kg(左578kg + 右546kg) |
| 後軸実荷重 | 約1,026kg(左516kg + 右510kg) |
| 合計(車両重量) | 約2,165kg ※上記の例では若干重めの個体 |
この場合、
250kPa以下 という数値になります。
しかしここで問題があります。
メーカーは250kPa未満を推奨していない
LTタイヤは高圧使用前提の構造です。
低圧域での常用は、
- 発熱増大
- 偏摩耗
- 剛性不足
につながる可能性があります。
さらに、実荷重はあくまで静止状態の数値。
走行中は
- 加速
- 制動
- コーナリング
- 段差入力
によって荷重は増加します。
つまり、
実走行時の荷重は、静止時より確実に大きい
この余裕を見込む必要があります。
私の設定値とその理由
私は最初、300kPa に設定しました。
理由は、オプション設定の 245/60R20 純正タイヤの耐荷重が比較的低かったため、
そちらを基準にしたからです。
しかし実際に走ってみると、
乗り心地はかなり硬い。
段差入力がダイレクトで、
少し神経質な印象もありました。
そこで現在は 260kPa に落ち着いています。
- 250kPa以上は確保
- 実荷重は十分カバー
- 動的荷重も想定(ざっくり静的荷重の×1.5)
- 乗り心地とのバランス良好
理論と体感の両方を踏まえた結果です。
結論
LTタイヤの空気圧は、
✔ 単純な換算では決められない
✔ 最大荷重だけでは判断できない
✔ 空気圧ごとの負荷能力を確認する必要がある
✔ 動的荷重の余裕を見込む必要がある
だから万能な換算表は存在しません。
そして実際に使ってみて感じたのは、
低すぎる空気圧は危険ですが、
高すぎてもタイヤ本来の性能を活かしきれないようです。
空気圧は「正解が一つある数字」ではなく、
条件の中で探す最適解。
私は、計算で安全域を出し、
そこから実走行で微調整するという方法に落ち着きました。

