「このボルト、ちゃんと締まってる?」
トルクレンチで規定値に締めても、実際にどれだけの軸力が発生しているか—— 数字で把握している人は意外と少ないです。
このツールは、ボルトサイズ・強度区分・母材・摩擦係数などを入力するだけで、発生軸力・ボルト応力・ネジ山せん断強度・推奨トルク範囲をまとめて計算します。
現場メモとして使ってください。
計算ツール
ボルト締結の基本:軸力とトルクの関係
ボルトを締めるときのトルクは、大きく2つに分かれます。
- ネジ面トルク:ネジ山の斜面で抵抗になる分
- 座面トルク:ボルト頭と部品の接触面で消費される分
この2つを合わせたものが「締め付けトルク」です。 軸力(部品を締め付ける力)に変わるのは、このうちの一部だけ。 摩擦が大きいほど、同じトルクでも軸力が小さくなります。
強度区分の早見表
| 強度区分 | 降伏応力 | 引張強さ | 代表材料 |
|---|---|---|---|
| 4.6 | 240 MPa | 400 MPa | 低炭素鋼 |
| 8.8 | 640 MPa | 800 MPa | 中炭素鋼(焼入) |
| 10.9 | 900 MPa | 1000 MPa | 合金鋼(焼入) |
| 12.9 | 1080 MPa | 1200 MPa | 合金鋼(高強度) |
摩擦係数の目安
| 状態 | μ |
|---|---|
| モリブデングリス | 0.10 |
| 一般的な潤滑油 | 0.12 |
| 無潤滑・鉄×鉄 | 0.15 |
| 無潤滑・鉄×アルミ | 0.20 |
| 乾燥・ザラ面 | 0.25 |
※摩擦係数のばらつきで、軸力は±20〜30%変動します。重要部位はトルク管理だけでなく、軸力の実測を推奨します。
母材別の注意点
- アルミ:引張強さが鉄より低く、ネジ山が飛びやすい。嵌合長さを深く取ること(目安:ボルト径の1.5〜2倍以上)
- 樹脂:参考値程度。クリープによる軸力低下に注意
- SUS×SUS:かじり(ゴーリング)リスクあり。潤滑必須
安全率の選び方
| SF | 用途の目安 |
|---|---|
| 1.5 | 許容応力計算(静荷重) |
| 2.0 | 標準設計 |
| 3.0 | 重要部位・振動あり |
| 4.0 | 安全重視・衝撃荷重あり |
まとめ
「とりあえずM6で8.8、トルク10N·m」で終わりがちなボルト設計ですが、 母材がアルミのときや、摩擦が変わるだけで軸力は大きく変わります。
このツールで「なんとなく締めた」を「根拠のある締結」に変えていきましょう。
