私は、右コーナーが苦手です。
……いや、苦手どころか、傍から見ても一目瞭然なくらい、苦手です。
右コーナーに入るたびに、体も気持ちもぎこちなくなるのが自分でもわかるんです。
でも最近、この苦手意識が、少しずつ解消されつつあるんです。
そのきっかけは、先日のSTECでのインストラクターのひと言。
「おへそを向けなさい!」というアドバイスでした。
この言葉を聞いた瞬間、過去のいろんな経験と感覚がパズルのようにつながっていきました。
今なら、うまく整理できそうなので、今回はその気づきをまとめてみようと思います。
苦手な方向のカーブがある原因は?
ここからは、私自身の知見と経験に基づく話になります。
そのため、すべてが事実や一般論と一致するとは限りませんので、あらかじめご了承ください。
私の周りでも、バイクに限らず「右回りが苦手」という方は意外と多いと感じています。
バイクで苦手なカーブが生まれる原因としては、
- 左右の手足で違う操作をしているから
- 日本は左側通行で、右カーブのライン取りが難しいから
……といった“外的な要因”を耳にすることがあります。
でも、それが本質的な原因だとすれば、とっくに有効な解決策が広まっているはずです。
にもかかわらず、決定的な方法がないのが現実です。
だからこそ、私はこう考えています。
原因の本質は、やはり「自分の体の使い方」にあるのではないか?
と。
苦手カーブは利き足に関係している
統計的に、日本人のおよそ9割は右利きと言われています。
利き手があるように、私たちには利き足や利き目もあります。
たとえばサッカーでボールを蹴るとき、自然に出る方の足が「利き足」。
逆に、踏ん張って体を支える方が「軸足」です。
つまり、右利き足の人は左足が軸足で、
「体を支える」「踏ん張る」ことが得意な足ということになります。
ここでちょっと試してみてください。
- 肩幅くらいに足を開いて立つ
- 片足ずつ、順番にその場ジャンプしてみる(ヒザを軽く使う程度でOK)
どうですか?
どちらかの足でジャンプしたとき、ちょっとプルプルしませんでしたか?
その「プルプル足」こそが、あなたにとって体重をうまく預けられない側であり、
その方向のカーブが、もしかしたら苦手なコーナーなのかもしれません。
そもそも、体は左右対称ではない
当たり前のことですが、人の体は左右対称ではありません。
私の場合、長年の不摂生もあって、体の歪みがかなりひどい状態でした。
整体師さんに言わせると――
- 立ち姿では左肩が上がり、体全体が左を向いている
- 仰向けに寝ると、骨盤の右側が下がり、上半身も右にねじれている
……つまり、そのまま「左カーブのフォーム」になっていたというわけです。
整体師さんいわく、ここまで全身にバランスの偏りが出ているのはなかなか珍しいとのこと。
それを聞いて、さすがにこれはまずいと思い、約2ヶ月かけて矯正に取り組みました。
正直、それまで私は「骨盤矯正なんて…」と半信半疑だったんですが、
猫背も少し改善され、今では大きな歪みは解消しています(完全ではないけれど)。
さらに面白いことに、以前は左足の靴底ばかり減っていたのが、
最近では今まであまり減らなかったつま先側までしっかり減るようになってきました。
つまり、左右どちらかのカーブが苦手なのは、むしろ自然なことなんです。
骨盤と上半身の動きを意識する
これは学生時代の話ですが、私は当時弱小アイスホッケー部に所属していました。
ご存知の方も多いと思いますが、アイスホッケーに必要なスケーティングは、
前後左右あらゆる方向に素早く動くことが求められます。
「左しかターンできません」では、ゲームになりません。
私も例に漏れず、右ターン(右クロス)がなかなかできなかったのですが、
ある時、ふとした気づきがありました。
左ターンのとき、自分の上半身がすでにターン内側を向いていることに気づいたんです。
じゃあ、右も同じようにやればいい――そう思ってやってみたのですが、うまくいかない。
なぜなら、腰が回っていなかったんです。
「外腰(ターン外側の腰)」を意識して、内側へ回すように前へ出すと、
それに引っ張られるようにして上半身も自然と内側にグイっと入ってくる。
これが、右ターン成功の鍵でした。
こうして書くと、たった数行の話に見えますが、実際にはそう簡単にできないんです。
怖いんですよね。もう、倒れに行くような感覚なんです。
でも、不思議なもので――
ターンの最初でしっかり準備ができていれば、そのあとは驚くほど楽になるんです。
やっぱり「最初が肝心」。
そこがうまくいっていないと、後から無理やり帳尻を合わせようとして余計にバランスを崩す。
これって、バイクでもまったく同じじゃないですか。
……それにしても、なんで当時この感覚をバイクに応用しようと思わなかったんでしょうね。
経験値? それとも、年の功?
私は、「おへそを向ける」
私が今、右コーナーで意識しているのは、
「おへそ(骨盤)をコーナーの内側に向ける」ということ。
さらに、内側を“覗き込むように”上体を動かすことで、
右カーブがずいぶん楽になってきています(絶賛・実践中)!
実際、私も注意されたのですが――
ただ左右に動くだけ、ただ向けるだけではダメなんです。
立体的な動きを意識しないと、身体はうまく反応してくれません。
たとえば、「頭の位置」。
左右で同じようなポジションに来るように意識してみるのも有効です。
私の例だと…
- 左カーブのとき:前をチラッと見ると、左側のフロントフォークが正面にある
- 右カーブのとき:なぜかスピードメーターが正面にきていた
この左右の差に気づいてからは、意識的に同じ動きになるよう調整しています。
あのときのSTEC、本当にありがたかったです。
「バイク、倒してもいいからね」って言ってもらえて、いろいろ試せたし、
自分のバイクじゃできないこともできた(笑)
後半には、かなり感覚を掴めて、いい動きができていたと思います!
……そういえば、今思い出しました。
スキーでも同じことがありました。
斜面を覗き込むように体を使うと、きれいにターンが決まったんです。
あのときも、最初はめちゃくちゃ怖かったけど、
勇気を出して一歩踏み込んだら、景色が変わったんですよね。