ノーマルマフラーでもアフターファイアーしていた、ドゥカティ・モンスター 1200S。
たまには、パン!って完全に外で火がつくことも。
マフラー交換は慎重にしないと、最悪は大事なバイクのエンジンを壊すことになるようなので、そうならなように、マフラー選びのコツを書いてみました。
ついでに、いろいろと近年の世間の事情含めて調べてみました。
この先に書く内容は、私個人の見解です。
間違っている見解もあると思いますのでご了承下さい。
マフラーの効率が上がると、たくさんの燃料がいる
マフラー交換の理由は、様々あると思いますが、一番は、格好良さじゃないでしょうか?
ただし、マフラー交換の本来の目的は、排気効率を良くして、パワーアップだと思います。
その様なマフラーは、燃料噴射の調整も変更の条件としているので、マフラーだけ変えると、逆にパワーが落ちて、乗りにくくなる場合もあります。
そして、近年のインジェクション車両では、厳密な燃料噴射量をコントロールしているので、最悪はエンジンを壊す可能性もあります。
とはいえ、身近で「壊れた!」という話を聞いたことはありません。
ただ、全開走行するようなシチュエーションでは、ほぼ壊れると思っておいたほうがいいでしょう。
サーキット走行を趣味にしている方は、特に注意が必要だと思います。
排気ガス規制
避けては通れない排気ガス規制。
環境に負荷をかける自動車やバイクは、例外なく厳しい規制に縛られ、内燃機関が、世間から追い出されるのも、時間の問題と感じています。
そして、この厳しい排気ガス規制をクリアするために、メーカーは技術を集結して対応しています。
この排気ガス規制をパスするための方法として、空気と燃料の割合を厳しく管理し、できるだけクリーンな排気ガスになるようにしているのです。
空燃比(空気 : 燃料)
空燃比とは、燃料を1としたときの、空気の量の比率で、”○○:1″と表します。
ガソリンが完全に燃焼する理想的な空燃比を、理論的空燃比といい、”14.7:1“とされています。
最もエンジンの出力が出る空燃比は、出力空燃比といい、”12.5:1“前後といわれています。
この少し濃い”12:1”あたりが、最も燃焼速度が速く、アクセルレスポンス良く操作もし易いのです。
よく、”燃料が濃い””燃料が薄い”と聞くことがあると思いますが、空気側の数字が大きいと、”燃料が薄い”数字が小さいと、”燃料が濃い”と言います。
理論空燃比で燃やすと最もクリーンな排気ガスですが…
最近の、排気ガス規制は、出力空燃比の”12.5:1”ではクリアできず、理論空燃比の”14.7:1”でしっかり燃焼させ、さらに”三元触媒”で、排気ガスをクリーンにしています。
キャブレターでは、この絶妙な空燃比をコントロールするのは難しく、様々なセンサーとコンピュータで瞬時に計算し、インジェクターで正確に燃料を噴射することで、可能になっています。
そして、理論空燃比14.7:1より濃い、出力空燃比の12.5:1では、ガソリンが一部燃え残るのですが、この燃え残ったガソリンがエンジン内で気化し、その気化熱でエンジン内部から冷却する効果を持っています。
ただし、理論空燃比では、ガソリンがほぼ完全燃焼するため、燃え残ったガソリンの気化熱で、エンジン内部から冷却する効果はほとんどなく、エンジンの温度は、上がりやすくなるのです。
この、理論空燃比で高回転域まで燃焼させると、エンジンが溶けてしまう恐れがあるので、理論空燃比での燃焼は、低中回転域だけのようです。
アフターファイアー
走行中にアクセルを閉じると、混合気が薄くなります。
理論空燃比付近から、さらに薄くなると、エンジン内部で上手く火がつかない事があり、燃えなかった混合気が、エキパイに流れ込みます。
この高温のエキパイに流れ込んだ混合気は、エキパイやマフラーの中で火が付き、アフターファイアーを発生させるのです。
排気ガス規制が緩かった頃の、キャブレター仕様の車両は、基本的には、出力空燃比付近で調整されているので、アクセルを閉じて混合気が薄くなっても、エンジン内で火が付かないほど薄くはなりにくいので、アフターファイアーは発生しにくいのです。
もちろん、ノーマル車の話です。
マフラー交換で抜けが良くなると、さらに熱くなる!
そこで、気になったのが、社外品の抜けの良いマフラーに交換すると、ますます混合気が薄くなって、アフターファイアーしまくるのでは?
と考えたのです。
さらに、ガソリンの燃焼温度も上がり気味になるので、エンジンに良くないのでは?
とも。
色々調べると、やはりその傾向はあるようで、あまり抜けの良いマフラーは、燃料噴射も調整しないと、エンジンの本来のパワーもでないばかりか、最悪はエンジンを痛めてしまうようです。
SC PROJECT SC1-R
私のモンスターのマフラーは、SC PROJECT製の SC1-Rシリーズに交換しています。
燃調をさわらなくても良さそうなマフラーは、これしか見つかりませんでした。
このSC1-Rは、キャニスター付きで、EURO4またはEURO5に対応したマフラーになっており、排気圧がそこそこ高いままななので、燃料調整が不要でマフラー交換ができます。
低速トルクがなくなるとか、乗りにくくなることもありませんでした。
ノーマルマフラーのときは、アクセルを戻した瞬間に、よくエンストしたのですが、これに変えてからは、一度もありません。
それと、アイドリングが安定しました。
アフターファイアーは、ノーマルのときと変わりません。
最近のバイクのマフラー交換は、慎重になる必要があります。
抜けの良いマフラーを付ける時は、燃料マップを書き換える、または、サブコンで燃料調整をするなどを前提に、交換することをおすすめします。
余談ですが、イタリアDiM SPORT社製のRAPID BIKEを取り付けると、ノーマルマフラーでも、操作性が良くなるようです。
ずっと、気になっているパーツなんですが…。
まとめ
- マフラー交換してアフターファイアーが増えたら、バイク屋さんに相談しましょう。
- 社外品マフラーに交換する時は、あまり抜けの良いマフラーは避けましょう。
特に、海外メーカーは要注意です。 - どうしても、抜けの良いマフラーと付けたい場合は、
RAPID BIKEなど、サブコンなどで燃料調整しましょう。
ただし、実績と信頼あるショップでやってもらいましょう。