「接地感」って、実は最近までよくわかっていませんでした。
有名なライダーやジャーナリストの方々がよく使う言葉ですが、
自分には遠い世界の話だと思って、深く考えずにいました。
でも、鈴鹿サーキット交通教育センター(STEC)のライディングレッスン中、
ある瞬間に「これかも?」と思える感覚があったんです。
今までは“滑りそう”で怖かった
これまでの私は、コーナリングのたびに「滑るかも」という恐怖心が先行していました。
実際は、ビビりすぎてタイヤに荷重をかけられていなかったんです。
そんなある日、スラロームでバイクをグイグイ押し込んでいるときに
「押し返してくる感覚」がありました。
まるで、バイクが路面に吸い付いていて、タイヤと路面が“貼り付いている”ような感触。
しかも、左右に切り返しても不安がない。
タイヤが滑る気配もなく、サスペンションの伸び縮みも手に取るように分かる。
「これが接地感…?」
接地感は“スキー”とそっくりだった
その瞬間、ふと思い出したのがスキーのターンでした。
スキー板をグッと踏み込むと、雪面から押し返される感覚があります。
あの「押し返される感じ」、まさにそれだったんです。
スキーでよく言われるのが「もっと板に乗り込め!」というアドバイス。
最初は怖くてできなかったけれど、体が疲れきったある日、
力が抜けた状態で滑っていたら突然スキー板がギュッと返してきて、
「あ、これが荷重ってやつか!」と体感したんです。
バイクにも、それと同じことが起きたわけです。
タイヤを“信頼して荷重する”ということ
それ以来、スキーとバイクは、荷重と押し返しの感覚がそっくりだと感じています。
例えばスキーでは:
- ターンの始動で少し内側に体を入れる
- 板を押し込むと、板が雪面から返してくる
- 返しに負けないように体を内に入れて踏ん張る
これがうまくいくと、グイグイとカーブしてくれて、不安感はゼロ。
バイクのスラロームもまったく同じでした。
- ハンドルを切る
- 上体を進行方向へ向ける(STECでよく言われる)
- バイクを押し込むと、タイヤが返してくる
- その反発を感じながらコントロール
この感覚を数回ですが体験できたとき、「もしかして、これが“接地感”?!」と思えたんです。
コーナリング後半、後輪を感じること
STECのレッスン中に言われたアドバイスに、
「回り込むコーナーで、前乗りになってますよ」
というものがありました。
これもスキーとそっくりで、スキーも後半は踵(かかと)で板の後ろを意識するようにしています。
ターン前半はスキー板の真ん中を踏み、後半は踵側で捉えることで、
“詰まり”を防ぎ、スムーズに抜けられる。
バイクでも、後輪にしっかりと荷重して抜けていくと、
コーナリングの安定感がぐっと増すように感じました。
接地感とは「滑らないという確信」かもしれない
最終的に、私がたどり着いた接地感の定義は、
「タイヤが路面をしっかり捉えていて、滑る不安がない状態」
これを感じられたとき、ようやく「バイクに乗れてる!」という実感が湧いてきました。
まとめ:接地感を得るためには“信じて荷重すること”
接地感を感じるために必要だったのは、技術でも知識でもなく、
タイヤと自分の感覚を信じて“荷重をかける勇気”だったのかもしれません。
スキーとバイク、2つのスポーツを通じて感じた共通の感覚。
それは、恐怖を乗り越えて「押し込む」こと。
そうすることで、はじめて「押し返してくる接地感」が味わえるのだと思います。